No.114

個人で礼拝を守るにあたって

〇 黙想をし、心を鎮め、聞く思いを整えて始めましょう
〇 ざんげをし、憐れみと愛を慕いもとめる思いを持ってみ言葉を聞きましょう。
〇 この原稿にも聖書本文が記されていますが、できれば自分の聖書を開き、必要な時に前後の聖書の流れを見られるようにしておきましょう。

2022年7月17日 聖霊降臨後第6主日

ルカ福音書10章38~42節 「 必要なことは一つ 」 吉田達臣

 10:38 一行が歩いて行くうち、イエスはある村にお入りになった。すると、マルタという女が、イエスを家に迎え入れた。 39 彼女にはマリアという姉妹がいた。マリアは主の足もとに座って、その話に聞き入っていた。10:40 マルタは、いろいろのもてなしのためせわしく立ち働いていたが、そばに近寄って言った。「主よ、わたしの姉妹はわたしだけにもてなしをさせていますが、何ともお思いになりませんか。手伝ってくれるようにおっしゃってください。」 41 主はお答えになった。「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。 42 しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」

 今日の福音書の箇所は、マルタとマリアと呼ばれる箇所です。すごくいい話、見事な話、というわけではありませんが、不思議と有名で、わりと多くの人が覚えている話です。恐らく、自分にすごく身近に感じられる話なのだと思います。私が最初にこの箇所を読んだとき、どちらかと言えば、マルタの気持ちがよく分かる、と思ったのを覚えています。マルタとマリアという二人の姉妹がいて、イエスさまを家に招き入れる。姉のマルタは、イエスさまをもてなそうと、聖書の言葉をそのまま使えば、

 色々のもてなしのためにせわしく立ち働いていた

 と言います。マリアはイエスさまの足元に座って、イエスさまの話を聞いていたと言います。するとマルタは腹を立てて、イエスさまに対し、妹のマリアは私だけにもてなしの準備をさせている、何ともお思いになりませんか、手伝ってくれるように言ってくれと言います。するとイエスさまは、

「マルタ、マルタ、あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。 42 しかし、必要なことはただ一つだけである。マリアは良い方を選んだ。それを取り上げてはならない。」

 そう言って、一見マリアの味方をしているように見えます。この箇所でたまに聞くことは、せわしなく働くマルタとおっとりしたマリア、などということを聞くことがありますが、マリアは決しておっとりした人ではありません。今年の四旬節の日課で、ヨハネによる福音書12章の話で、マルタ、マリア、そして弟のラザロが出てきた箇所があります。そこで、300デナリオンの高価な香油をイエスさまの足に塗り、自分の髪の毛で拭ったのが、このマリアです。恐らくみんなぎょっとし、ユダから非難されていました。とても激しい人のようにも見えます。またこの箇所で、度々聞かれるのが、具体的に立ち働くことより、まずみ言葉を聞くこと、それが大事だと教えているんだ、という話があります。一理あると思いますが、そこまで単純な話ではないと思います。この話は、72人の派遣と善いサマリア人の話に続いている話です。具体的な奉仕の大切さの話でもあります。単純にどちらが大切か、という話ではない気がします。マリアのもてなしは、十分にイエスさまに喜ばれる行為だったと思います。恐らく問題なのは、そのマルタが腹を立て、しかも印象的なのは、マリアに手伝ってくれと直接言うのではなく、イエスさまに、何とも思わないか、手伝ってくれるように言ってくれ、そう語っています。それに対して、イエスさまの答えは、「あなたは多くのことに思い悩み、心を乱している。」と言っています。マルタは、色々なことが気になったのだと思います。もてなしの準備は間に合うだろうか、イエスさまはこれで喜んでくれるだろうか。イエスさまは熱心にマリアに話をしているけど、自分の存在なんて忘れられているのだろうか。結構準備は大変だけど、私の大変さを分かってくれているのだろうか。
 私たちは、日々、多くのことの思い悩み、心を乱しています。私たちいろんな心配をします。ああなったらどうしよう、こんなことが起こったらどうしよう。そんな心配から、しなければならないことが増えていったりします。しかし、自分が忙しいだけではなく、だんだん人のことが気になりだしたら、危ない。あの人は楽そうにやっている。あの人は何の備えもしていないが大丈夫だろうか。それが高じていくと、やがて人を裁き始めていきます。
 それに対して、イエスさまは言います。大事なことは多くはない。必要なことは一つだと。心配事や不満が心にあふれてきたら、私たちは考えたほうがいい、本当に一番大事なことは何だろう。本当に一番必要な事とは何なのだろう。よく考えれば、人間のできることは限られています。私たち一人ひとりのできることは限られています。しかし、心配する必要はありません。大事なことはそれほど多くない。必要なことは一つだと、聖書は教えます。全体の状況と、現在の自分の状況の中で、それぞれの人が行動を選び取ります。今自分にとって大事なこと、必要なこと。それを人から取り上げてはいけませんし、同時にあなたも、人から取り上げられることもありません。
 本当に大事なこと、本当に必要なことを信じて選び取っていきましょう。多くのことに心乱される必要はありません。必要なことは一つだとイエスさまは言います。