2023年1月1日

個人で礼拝を守るにあたって

〇 黙想をし、心を鎮め、聞く思いを整えて始めましょう
〇 ざんげをし、憐れみと愛を慕いもとめる思いを持ってみ言葉を聞きましょう。
〇 この原稿にも聖書本文が記されていますが、できれば自分の聖書を開き、必要な時に前後の聖書の流れを見られるようにしておきましょう。

2023年1月1日 主の命名

ルカ福音書2章15~21節 「 神は救い 」 吉田達臣

 15 天使たちが離れて天に去ったとき、羊飼いたちは、「さあ、ベツレヘムへ行こう。主が知らせてくださったその出来事を見ようではないか」と話し合った。 16 そして急いで行って、マリアとヨセフ、また飼い葉桶に寝かせてある乳飲み子を探し当てた。 17 その光景を見て、羊飼いたちは、この幼子について天使が話してくれたことを人々に知らせた。 18 聞いた者は皆、羊飼いたちの話を不思議に思った。 19 しかし、マリアはこれらの出来事をすべて心に納めて、思い巡らしていた。 20 羊飼いたちは、見聞きしたことがすべて天使の話したとおりだったので、神をあがめ、賛美しながら帰って行った。  八日たって割礼の日を迎えたとき、幼子はイエスと名付けられた。これは、胎内に宿る前に天使から示された名である。

 ある信徒の方が、こんな話をしてくださいました。その方にすごくいい事が起こったそうです。その時とっさに、こんなにいい事が起こって、罰が当たるんじゃないかと心の中で思ったんだそうです。でも、信仰に立ち帰って、聖書ではそんなことは教えていない、そう思ったそうです。いまだにこんな風に思ってしまう、という話をしてくださいました。心の癖と言いますか、人間って本来、因果応報的に考えてしまう。良いことをしたら、良いことが起き、悪いことをしたら悪いことが起きる。自分行為に対して、それ以上の良いことが起こると、後でその分悪いことが起こるんじゃないか、そう考えることは人間にとって、合理的な気がします。
 宗教改革って、革新的な新しいことを始めたのではなくて、元に戻す運動、本来の姿に戻す改革でした。教会でも、聖書から離れて、余りに自分たちになりにやっていくと、だんだん人間的になっていきます。教会の営みの中に、因果応報的な考え方が入ってくる。これをしなければ救われない。これをすれば救われる。そういう考え方が入ってきてしまいます。
 ルターが教えなおしたのは、恵みのみ、という教えです。全ては神の恵みのみです。これは人間にとっては信じがたい、不自然な教えなのだと思います。だからこそ、繰り返し聞き続け、教え続けられなければならないのだと思います。私たちは実際に罪人ですから、因果応報的な考えにはまっていくと、悲観的になるのかもしれません。
 今日は元旦でもありますが、主日の名前は、主の命名です。クリスマスから一週間、ユダヤの数え方は、当日もカウントに入れるので、八日後と書かれています。私たちの感覚で言えば、一引かなければなりません。金曜日に十字架について、三日後に復活したと言いますが、復活は日曜日ですので、私たちの感覚で言えば二日後です。八日後は、一週間後、クリスマスの一週間後は、元旦です。この時イエスさまは割礼を受け、名前を付けられます。その名はイエスです。ルカを読んでいくと、受胎告知の時に、その子をイエスと名付けるように、と告げています。マタイを読むと、ヨセフの夢の中に天使が現れ、その子にイエスと名付けるように告げています。いずれにしても、この男の子に名前を付けたのは、神さまご自身です。ギリシャ語では、イエズ―スあるいはイエス―スですが、ヘブライ語では、ヨシュアです。イエスさまが登場するまではよくあった名前だったようです。ただ、イエスさまの登場以降この名をつける人は、少なくともキリスト者の中ではいなくなったと言われています。でも、それ以前はありふれた名前です。その意味は、「神は救い」です。私たちは、イエス・キリストと言いますが、キリストは名前や苗字ではありません。イエス・キリストとは、一番最初の、最も短い信仰告白です。イエスは救い主、あのナザレのイエスは救い主、そういう意味です。神は救いを意味する、イエスという名を、なぜ神さまは与えたのか。これは想像することしかできませんが、私たち、信仰が分からなくなっても、この原点から考え直すことができます。神は救いである、ということです。イエスさまは、救い主である、ということです。神さまは、私たちを救おうとしているということです。この原点は揺るがない、そのことを示すために、神さまはイエスという名を与えたのかもしれません。この一年、どんな一年になるか分かりません。時には悲観的な思いにさせられることもあるかもしれません。でも、神さまはあなたを救おうとしている、イエスさまは、あなたの救い主である、その原点は揺るぎません。救いの神と共に、新しい一年を始めましょう。